4. 先端半導体の製造を支える液浸露光技術

半導体は誕生以来、急速に微細化し、それに伴い、多くの機能を搭載できるようになりました。
その進化にあわせ、ニコンでは半導体の微細化に対応した解像度の高い露光技術を開発してきました。
しかし、半導体の微細化を推し進めていくと、ある一定以上はどうしても小さくできないという理論的な限界がありました。この限界を打ち破ったのが、ニコンの半導体露光装置で採用された「液浸露光技術」です。

水の入ったコップの中でストローをさし、上から眺めると、水中でストローが曲がって見えます。これは水の屈折率が空気より高いためで、液浸露光技術はこの原理を利用しています。半導体露光装置のレンズとシリコンウェハとの間を、空気(屈折率1.00)よりも屈折率の高い純水(屈折率1.44)で満たすことで、純水自体をレンズのように使ってより高い解像度を達成するものです。
この技術により、今までの限界を大きく超えた38ナノメートル以下での露光が可能になりました。

現在の最先端の半導体は、この半導体露光装置でマルチプルパターニング技術を採用することにより、10ナノメートル以下のノードプロセスの量産を行っています。
液浸露光技術を用いて高い集積度を達成した半導体は、多種多様な用途に利用され、私たちの生活をより快適で便利なものへと進化させています。

  • 1つの回路パターンを、現行の半導体露光装置で転写できる2つ以上の密集度の低いパターンに分割露光し、これらのパターンを組み合わせて、最終的に密集度を高める技術