3. 半導体製造のために集約されたニコンの技術

半導体露光装置には、3つの技術が必要とされています。
この3つの技術が半導体露光装置の性能を決めるといっても過言ではありません。

第1は、「投影レンズの解像度」です。レンズの解像度が高いほど、細かい回路パターンを転写することができます。ニコンではレンズの原材料の調合から熔解、研磨、コーティング、組み立てまで一貫した生産体制で品質を管理し、レンズ性能を高めています。

第2は、「重ね合わせ精度」です。1個の半導体を作るためには、数十回フォトマスクを交換しながら、繰り返し回路パターンを焼き付けなければなりません。このため、シリコンウェハとフォトマスクの位置ずれがないことが非常に重要となります。ニコンでは複数のセンサーを用いて、フォトマスクとシリコンウェハの位置決めをナノレベルで超精密に行っています。

第3に、「スループット」です。これは半導体の量産時に大切です。スループットは、1時間あたり何枚のシリコンウェハを露光できるかという生産性を表しています。1枚のシリコンウェハに数百の半導体を露光するために、シリコンウェハをセットしたステージの高速制御を実現し、高スループットを達成しています。

ニコンではこれら3つの技術を個別に磨き上げるとともに、3つ全てを高いレベルで組み合わせて1台の装置に仕上げるという高難度な研究開発に挑み、「史上最も精密な機械」と呼ばれる半導体露光装置を製造しています。